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次代の力:広島・エネルギー最前線/ 大崎上島・柳さん一家 /広島


 ◇田舎暮らし、震災機に都会に別れ

 「生活していく分には何も不自由はないですね」。柳美穂さん(37)は東日本大震災の発生からほどなくして、竹原港(竹原市)からフェリーで30分の離島・大崎上島に移り住んだ。丘の中腹にある築50年以上の古民家で、親子3人の暮らしを堪能している。

 昨年3月11日、東京都西東京市内の自宅にいた。その日は3LDKのマンションに缶詰めになった。停電が始まり、トイレットペーパーの買いだめやパンの品切れなどが相次いだ。「二重ロックの息苦しさや、1本1万円の鍵がないと子どもが自由に外で遊べない環境。元々、都会暮らしに閉塞(へいそく)感を感じていた」

 東京を離れる決心をし、神戸を経て知人のつてで大崎上島を紹介された。栃木県出身の柳さんは瀬戸内の島と縁はなかったが、試しに訪れると、穏やかな暮らしぶりが気に入った。4月から町社会福祉協議会で緊急雇用の仕事が決まった。すぐに住民票を移し、小学校入学を控えていた長男悠吾君(6)の小学校入学と、3年生の長女恭香ちゃん(9)の転入手続きもした。

 暮らしを都会の様式から一変させた。夏でもエアコンは使わない。ラジオ体操に行くと、帰りにはお裾分けの夏野菜が両手一杯に。冬は練炭火鉢とこたつで暖をとる。昨年10月には子どもと一緒に「ロケットストーブ」を作った。火を使って、拾ったビワの葉などで染め物をしたり、気候が良い時期には外で料理を作った。客を迎える時は、自ら釣った瀬戸内の魚でもてなす。電気代は東京時代の半分以下になった。
 緊急雇用の期間は1年間だが、ヘルパー2級の資格も取った。将来は畑を借りて農業にも取り組みたい。東京時代の友だち、特に子育て中の母親や妊婦が長期間滞在することも。「遊びながら、安心して過ごせる場所になった」

 太陽光発電や自宅に設置できる小型風力発電装置など、自然エネルギーにも興味がある。秋には庭で、核問題に向き合うミュージシャン・内田ボブさんのコンサートも開いた。「食料も燃料もお金がなくちゃ何もできず、がんじがらめの都会を離れるのは案外いいし、案外できる」。満足そうな笑顔で語った。【加藤小夜】=おわり
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自慢のミカンで被災地支援


広島県大崎上島町中野の農業松浦二郎さん(65)が、東日本大震災で被災した3県へ有機栽培のミカンを届けている。目標の3トンを送り終え、今後も要望があれば追加発送するつもりだ。瀬戸内の島暮らし。沿岸部を襲った大津波を思うと、いたたまれなかった。11日、あの日から10カ月になった。「自慢の味で冬を乗り切ってほしい」と願う。

 宮城、福島、岩手県に各1トンを送った。昨年12月初めから妻陽子さん(62)と2人でフル回転で作業を続けた。0・75ヘクタールの畑での取り入れ、選別を経て10キロ箱に詰めた。3トンは今冬の収穫の大半にあたる。東北の有機栽培仲間が現地で配った。

 津波の映像に衝撃を受けた。被災地との縁は特段ないが、東北沿岸部も大崎上島も海があっての暮らしは同じ。「誰かが何かせにゃいかんだろう。うちはミカンしかない」。商売を二の次にして支援を決めた。

 宮城県石巻市からはうれしい知らせもあった。「おいしく頂きました」と、年配女性から直筆ファクスが届いたのだ。つくづく思った。「ああ、送って良かったな」
 東京都や広島市での会社勤めから2002年、Iターンした松浦さん。「津波で全てゼロじゃからね。僕ならよう立ち直らんかも」と自らの第二の人生を振り返り、被災者を思いやる。「昨年はつらい年だったけど、おいしいミカンを食べて新しい年を歩んでほしい」。潮風と陽光に育まれた果実を見やった。



【写真説明】「仮設住宅に住む人にも食べてもらいたいね」。陽子さん(右)とミカンを箱詰めする松浦さん

山田監督50年で大崎上島ロケ


山田洋次監督(80)のデビュー50周年記念映画「東京家族」のロケ地に、広島県大崎上島町が内定した。製作会社の松竹が明らかにした。

 地元関係者によると、山田監督は2010年10月を最初に同町を3回訪問。島の港やミカン畑、造船所を望む風景などを見て回り、構想を練ったという。高田幸典町長は「私たちの町が選ばれるのをうれしく思う。島の良さをアピールしたい」と歓迎する。

 作品は、家族の絆を描いた巨匠小津安二郎監督の代表作「東京物語」(1953年)をリメーク。東京で暮らす子どもを訪ねる老夫婦の郷里を、尾道市から大崎上島町に置き換えるという。

 山田監督はデビュー50周年だった昨年、撮影入りを予定していたが、直前に東日本大震災が発生。「脚本を全面的に見直し、戦後最大の災害を経た東京を描きたい」として製作を1年延期していた。震災を踏まえた家族の在り方などを盛り込み、2月末から撮影入りする予定という。

高齢者向けに地域バス時刻表

広島商船高専(広島県大崎上島町)の流通情報工学科5年竹下千尋さん(20)が、町営コミュニティーバス「おと姫バス」の手のひらサイズの時刻表を作った。高齢化が進む島で利用の多いお年寄りが持ち運びやすいように、卒業研究として作製した。

 A2判の表裏に、平日と土日曜・祝日のダイヤをそれぞれ記した。折り畳むと縦11センチ、横8センチに収まる。4路線のダイヤを色分けし、大きい文字を心掛けた。島外への通院を考慮し、竹原港(竹原市)との間を往復する船便との接続例も示した。お年寄りの乗客からニーズを聞き取って作ったという。

 竹下さんは指導役の岡山正人教授と一緒に4日、町役場を訪れ、藤原正孝町長に時刻表を手渡した。研究を踏まえ、同高専は240部を用意。10日ごろからバスターミナルの事務所やバスの運転手を通じて、乗客の手に入るようにする。




【写真説明】岡山教授(左)とともに時刻表を披露する竹下さん(町役場)



大崎上島の交通機関、フェリー、バスを利用する場合、在住の人でも頭を悩ますだろう複雑な交通体系だ。
それプラス、大崎上島からJRの電車時刻、そして港から竹原駅の往復にバスも使うことを考えると、訪れるのに大変な場所となってしまう。
昔は、竹原の内港にもフェリーの発着場所があり、竹原駅への乗り継ぎも便利がよかった。
フェリーの車利用の料金も割高であり高速道路の割引を考えると不平等感が否めない。

話が長くなるので、この辺で止めます。^_^;


広島県、瀬戸内海観光で20コースの旅行商品発売


広島県は瀬戸内海観光のメニュー開発を支援する事業の一環として、計20コースの旅行商品を発売した。
日帰りプランを中心に約1000人の参加を募集する。サイクリングや島暮らし体験など、これまでツアー観光に組み込まれることの少なかったメニューをそろえ、利用者のニーズを調査。民間ベースでの事業化につなげる狙い。

 ツアーは広島発着で、事業を受託したひろでん中国新聞旅行が実施する。
期間は8月まで。日帰りプランは、島しょ部で地元のグルメのほか、サイクリング、トレッキング、ミニクルーズなどを楽しめる内容となっている。料金は大人1人当たり3500~1万2500円。

 また江田島や大崎上島への移住を検討している人向けに、1泊2日で現地の見学や地元の人との交流ができる体験プランも提供する。



児童のしょうゆ学習が成果


児童のしょうゆ学習が成果


【写真説明】力作のポスターを岡本さん(左)と見る出口君(右)と岡本君


広島県大崎上島町の東野小3年生9人が、島の手づくりしょうゆについて学んでいる。このうち2人は、全国の「しょうゆ感想文コンクール」で入賞。しょうゆ蔵で大豆を蒸らすなどの工程は通学路から見え、社会科見学も毎年続けている。

 工場見学部門で入賞したのは出口慶幸君(9)と岡本康生君(9)。日本醤油(しょうゆ)協会主催で応募921点の中から、出口君が最優秀、優秀賞に次ぐ佳作、岡本君は審査委員特別賞に輝いた。3年生が毎年応募し、一昨年も1人が佳作に選ばれている。

 島の産物を学ぶ社会科の授業で、1933(昭和8)年創業の岡本醤油醸造場を見学。今年も代表者の岡本義弘さん(72)を質問攻めにした。岡本さんによると見学は20年近く続いている。


※昨年 夏に帰省したおり、熱心にご家族の方から櫂伝馬の話をお聞きしました。
 醤油もさることながら、島を愛し支えている人のひとりです。



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