山田洋次監督
映画『東京家族』製作延期のお知らせ
このたび松竹では、12月公開予定の映画『東京家族』(監督・山田洋次)の製作を延期することを決定いたしました。
本作品は、当初4月1日のクランクインをめざして、撮影準備をすすめてまいりましたが、3月11日に発生した東日本大震災の影響により、撮影上の物理的事情と、山田洋次監督の意向を受けて、クランクイン時期の延期を決定するに至りました。
今後のスケジュールに関しましては、2012年早期のクランクインを目指し、調整に入ります。
皆様方のご理解ご協力をお願い申し上げるとともに、このたびの震災で被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
2011年4月14日 松竹株式会社
ぼくはこんな風に考えた
一年以上の歳月をかけて入念に準備を整え、間近なクランクインを控えてスタッフやキャストの気力が充実しきっていた時、3月11日の大災害が発生しました。
このままそ知らぬ顔で既に完成している脚本に従って撮影していいのだろうか。いや、もしかして3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか―――ぼくは何日も悩み、会社ともくり返し相談した結果、それこそ苦渋の選択をしました。撮影を中断して今年の終わりまでこの国の様子を見よう、その時点で脚本を全面的に見直した上で戦後最大の災害を経た東京、つまり2012年の春の東京を舞台にした物語をこそ描くべきだ、と云うことです。
来年、ぼくたちは新たな気力を奮い立てて『東京家族』の制作に挑みます。
どうか観客の皆さん、ご期待下さい。
山田洋次
一旦は白紙になっていた映画を監督は構成を練って再チャレンジ
山田洋次監督は、虎さんに代表する大衆娯楽的映画のイメージがみなさんは強いかもしれないが、私にとっては、「家族」「故郷」「遙かなる山の呼び声」などの民子三部作が強烈な印象があります。
だから、「東京家族」の脚本もその延長の作品になるイメージが強いのです。
決して楽しい映画ではない、
人生の苦さ、生きることの大変さ、葛藤、
でも それでも、人間として家族として 障害を乗り越えることにより かけがえのない大切さもの、安心できる空間が確かに映画には映しだされている
大崎上島には申し訳ないけれど、単純な観光振興と一致する映画では到底ありえない
もし、広島県倉橋島がロケ地である「故郷」をみて安直に観光に結びつくだろうか?
あんな砂利運搬船を題材にできる監督など、私のつたない人生経験で存在しなかった。
老朽化して海岸で燃えている仲間の廃棄された木造船をみて憤りを感じる映画なんて
なんて実に素晴らしい映画なのだろうか・・・・
まさにリアリズム、労働者階級の映画じゃないか!
まぁ、そこまで過激でなくとも、監督のオブラートにつつんだ、優しいメッセージを感じずにはおられません。
監督は空気、空間を大切にされる方なので、きっと
この場所で、大切な空気を感じられたのかもしれません。
だから、もし 映画が上映されても、注目されるのは風景である前にそこにいる人間であるような感じがします。
大崎上島のような過疎地域は実は日本に多く点在し、地域 文化の火は消えようとしている
人と人との結びつき、接点にスポットをあてることにおり、日本の大きなテーマを浮かび上がらせる
我々人間は、決して便利な物ではない
気分は、労働法先進国のフランスに行ってみたい気分になりました。
クランクインまで少し時間がありますが、監督の映画を何度もみて思いにふけるのも、人生の贅沢じゃないかと思います。
なによりも、
この島にきて元気になった!
そう感じれる場所が
日本で一番 贅沢な場所じゃないかと思います。
PR