大崎上島には申し訳ないですが、観光の映画とは違いました。
監督はやはり、大衆娯楽といっても労働者階級の視点での映画監督です。
大衆運動、高度成長期の日本の変遷をとおして、監督の視点で「東京家族」は、上映されます。
しかしあんなに監督が接触するぐらい、俳優に対して一字一句指導しているとは思いませんでした。
派手な演出がないかわりに、細部にイメージを膨らませテーマを持たせる手法は、「故郷」の中の一節を思い出します。
http://waqwaq500.blog.shinobi.jp/Entry/341/
監督の発言の中に派遣労働者と正社員の違いが出てきましたが労働に携わる人間としては、やはり監督の視点はそうなのかという部分で核心を突いているなと思いました。
資本主義は漸次 運動原理のもと、より本質に近づいていくものであり、現象として、人間関係では大家族→核家族→個人に集約されていく。
つまり集団の利益、地域性よりも、個人の地位、利益を優先する現象がおきてくる。
世代間格差、ローカリズムの排除、グローバリズムと展開をとるのがよくあるパターンで、一人の人間でそういった社会変革を体験できている人、気がついている人はあまりいません。
蛙を水の状態から徐々にゆでていくとわからない あれとよく似ています。
端的な例が個人の自殺なども含まれてきます。
しかも、個人の能力など社会は必要しているのではなくパーツとしてうまく機能さえすればいいのです。
「昔のほうが豊だった」
「みんなが、問題意識をもっていた」
時代を総括する発言が番組で随所にでてきます。
「答は、みなさん 考えてください。」
これが映画のテーマです。
脚本、撮影現場、
そう、大崎上島の櫂伝馬にも共通する材料がたくさんあります。
我々には櫂伝馬があります。
それは、住民一人一人の魂であり、象徴です。
決して独りのテーマではありません。
これは大崎上島の出した答えであり、個人の解釈はどうでもいいのです。
監督から、
「君らの島には櫂伝馬という立派な答えがあるじゃないか!」といわれたような番組でした。
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