フェリーの経営難 生活航路の維持第一に '09/11/24
中国新聞から
新政権の重要施策である高速道路の無料化はどんな形で実行されるのか。来年度の予算編成を前に、旅客、貨物のフェリー業界が不安を募らせている。特に本州四国連絡橋などと競合する瀬戸内海の航路にとっては死活問題だ。
日本旅客船協会によると、今年に入り瀬戸大橋に並行する宇野―高松をはじめ竹原―波方、呉―松山など4社5航路が休廃止を決めた。ほかに柳井―松山航路を運営する会社などが民事再生法の適用を申請している。
しまなみ海道の全線が高速化した2006年度以降、利用車両が減ってきた上、昨年度は燃料費の高騰が響いた。それに追い打ちをかけたのが昨秋以来の高速道路の料金割引である。
とりわけ3月にスタートした土曜、日祝日などの「千円高速」では、トラックだけでなくマイカー客も奪われた。高速道路に追随する形で、一部の有料道路でも割引が実施されている。このままでは、残る航路にとっても、高速道路無料化が廃止への「最後の一撃」になりかねない。業界を挙げて反対するのは無理もあるまい。
無料化を歓迎するマイカーの利用者は多かろう。しかし、フェリーの経営難で赤字航路が次々廃止に追い込まれると、通勤や通学に船便を利用する住民への打撃は大きい。高速道路の利便性に頼るだけで、緊急時の備えも含めた地域の公共交通が守れるのか。生活航路の維持を最優先しながら、対策を急ぐべきである。
休廃止の航路では、利用者への影響を最小限に食い止める努力がされている。近隣の航路が代わりに廃止の地域に立ち寄る便を増やしたり、別会社が事業を引き継いだりする手法だ。しかし、その場合でも、高速道路に対抗して車両の運賃を値下げすると同時に、旅客分は値上げしなければ、経営を維持できないという。
企業努力だけでは限界があるからだろう。行政も動きだした。山口県や三原市などはフェリーの港湾使用料の免除や相当額の助成といった支援策を講じている。ただ、地方財政の厳しい現状では十分な効果を望むのは難しい。
陸上交通とのネットワークづくりや観光需要の掘り起こしといった活性化策を打ち出そうと、関係団体が協議を始めた地域もある。心強い試みだが、成果を出すには時間がかかる。
結局、高速道路無料化そのものがフェリーの経営を左右する。無料化によって交通渋滞がひどくなったりCO2の排出量が増えたりするのではといった疑問も根強い。納得できる説明が求められる。
財源となる国民の税負担も考慮しなければならない。社会実験というなら、少なくとも本四連絡橋など地域への影響が大きい区間を外すべきではないか。
国はこれまで、物流体系を船舶や鉄道による大量輸送中心に転換する「モーダルシフト」が温暖化防止や省エネに資するとしてきたはずだ。この基本姿勢まで変える必要はあるまい。
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本来、こういった陸上交通偏重の国の政策に対して、海上交通の側も社会問題として、世の中にアピールするのが筋だろう。
大崎上島では、一部の議員さんを除いて、こういった話題さえも取りあげない。
ネットに関しては、私以外「おかしい」と訴える人はいない。
すべてのツケは結局は住民がおい、そして地域社会の存続に直結している。
目先の世間体を気にして、存続できる地域では既にないのだ。
陸運関連の事業者団体などは、時の政権の自民、民主に、陳情することは当たり前の風景なのだ。
また、事業者の声が国伝わるよう、交渉ごとは真剣勝負の世界であり、なれ合いなどあり得ない。
海運関連で地域住民や自治体が連合して国に陳情することなど、果たして今まであったのだろうか?
全国離島振興協議会などに加入しているが、地域に恩恵なり住民の声が伝わったのか?
個人の観光以外の成果があがったのだろうか?
お手盛り外交ではないだろうか?
国の政策と整合性を保つためには、矛盾点を取りあげ提案・問題提起できる人を時代は必要としている。
主体性を持って地方自治を維持するとはどういったことなのだろうか?
改めて問うてみたい。
宮本常一を語る会 ブログ『私の日本地図6 瀬戸内海Ⅱ 芸予の海』