竹原市と対岸の大崎上島町の小中学生らが観光ガイドに扮し、双方を結ぶフェリーで乗客に歴史や文化を紹介する計画を進めている。
指南役は研究者や学生、行政職員らまちづくりにかかわる有志。本番の10月2日に向け、子どもたちはふるさとの魅力を自分たちの言葉で発表するプランに心をはやらせている。
名付けて「大崎上島―竹原地域教育プロジェクト」。
広島商船高等専門学校(大崎上島町)の岐美宗(みちよし・つかさ)教授(48)らを中心に、「わがまち、わが地域を愛し、誇れる」人材を育てようと考えられた。参加する小中学生16人は6月から、観光名所の見学や歴史の勉強、船などで食べる弁当「船べん」の試作もしてきた。
今月18日には竹原港と大崎上島の垂水港を結ぶ山陽商船のフェリーに乗って海へ。初めて乗客の前で練習した。
「船の右前をごらん下さい。軍艦のように見える高い煙突がある島が契島(ちぎりしま)です。鉛の精錬で日本一です」
大崎上島行きの便では小学生が、船から見える島々や大崎上島の歴史を説明。
地元の子でさえよく知らない事実をわかりやすく語り、伝説も紙芝居で上演していく。
戻りの竹原行きでは大久野島や竹原の町並みを紹介し、乗客にクイズも出題。町並み観光ガイドの神野史子さんや大崎上島町職員らが助言し、乗客には「一生懸命さが伝わった」と好評だった。
「これまでの勉強でふるさとの歴史がよく分かった」と竹原小4年の舟本りあるさん(10)。
5年の河野彩香さん(10)は「緊張した。本番では乗客の方を見て話したい」と話す。
本番では午後0時半の竹原港発の便と同4時半の垂水港発の便でガイドを行う。
山陽商船経営企画室長の角南正之さん(55)は「船べんの開発も支援したい」と歓迎。
岐美さんは「今回の試みで人と人がつながり、新しいエネルギーになり、地域活性化の起爆剤になれば」と期待している。(藤井匠)
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