広島県の島や沿岸部を舞台やモチーフにしたアニメの制作が相次いでいる。「崖の上のポニョ」「たまゆら」に続き今春、呉市の大崎下島をイメージして舞台づくりをした映画「ももへの手紙」が公開予定だ。穏やかな風景、ゆったりと流れる時間。瀬戸内海はアニメ制作者を引きつける。
山肌に広がるミカン畑、灯台や高台から望む多島美。「ももへの手紙」には江戸時代に栄えた潮待ちの港がある大崎下島にそっくりな風景が映し出される。
「ももへ」とだけ記した手紙を残し、天国へ旅立った父への思いを胸に島に移り住んだ少女が主人公。沖浦啓之監督(45)は「大きすぎず、小さすぎない。多島美を望め、かんきつ類の産地でもある。瀬戸内の魅力が凝縮され、映像として散漫にならない」と大崎下島にこだわった理由を説明する。
福山市鞆町にゆかりがあり、瀬戸内の島々を巡った時期がある。1999年に大崎下島を初めて訪れ、2004年から通った。作品化に際し「架橋などの現状も描くことで美化しないよう心掛けた」という。映画は国際映画祭に出品された。
「ももへの手紙」は4月21日公開。大崎下島では至るところにポスターを掲示、広島県も映画を絡めた観光PRに乗り出している。
【写真説明】「ももへの手紙」の舞台のモデルになった大崎下島。手前の港は大長港
民俗学者の沖浦和光さんはおじにあたるそうだ。 縁の場所となる。
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