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生徒減 普通科に改編へ


船の模型を使って説明する中村教諭。伝統の造船の授業を受け持つ(10月28日、広島県立大崎海星高校で)


 生徒減の悩みに直面した地方の総合学科には、新たな道を選択したところもある。

 「船の浸水が見つかった場合はどうする?」「近くにいる人を呼ぶ」。小さな教室で、教師と生徒5人がそんな言葉を交わしながら、和やかな雰囲気で授業をしていた。

 瀬戸内海に浮かぶ広島県の離島、大崎上島。10月下旬、県立大崎海星高校を訪れると、再任用の中村秀樹教諭(63)が、3年の選択授業「船舶整備」で、船の模型を使いながら整備方法などを教えていた。

 全校生徒約90人、1学年1クラスと小さいが、造船の科目を含む「工業」、「生活」、「情報ビジネス」、「人文理数」の4系列の科目をそろえる総合学科の高校だ。しかし来年度からは、総合学科の募集をやめ、新たに普通科を設置して再スタートを切ることになっている。

◎ 島には元々、普通科高校と工業高校の2校があった。だが、少子化による生徒数の減少で、2校体制を維持するのが難しくなっていた。とはいえ、島内には造船所が多く、造船主体の伝統ある工業高校は残したい。そこで選んだのが、双方の学校の科目をそろえた総合学科高校という道だった。

 1998年に2校を統合して始まった当初は、1学年2クラスで6系列の科目をそろえた。初めは多様な科目を用意できたが、生徒数は徐々に減り、それに合わせて教員の数も減少した。当然、多くの科目をそろえるのが難しくなり、6年前からは4系列の科目になった。

 生徒が減った理由は、島の人口減とともに島民の進学志向の強まりもあった。「大学に進学するならと、島外の普通科に行ってしまう。島の人たちも普通科志向が強くなっている」と、東内孝司校長(55)は話す。

 約10年前には島の3中学校の卒業生の6割が入学したが、今は4割程度。進学対応の授業もあるが、やはり進学するならば普通科へということで、島外の高校に生徒が出ていってしまっているという。

 総合学科の最大の特色は多様性。それが生徒の減少で生かせなくなっていた。県教委は今年7月、同校の総合学科の募集停止を決めた。「1学年1クラスの規模では多くの科目を開設するのは難しい。また、今は島外の普通科へ行ってしまっているので、普通科になることで地元の子どもたちがなるべく地元に残ってくれれば」と県教委学校経営課では話す。


◎ 現在の1、2年生は卒業するまで総合学科で学ぶ。そのため、唯一、造船を教えている中村教諭もあと2年は教べんを執るつもりだ。また、普通科に変わっても、ある程度は今の科目を残して学べるようにするつもりだが、伝統ある造船は教える教師がいなくなるため、なくなる可能性が大きい。

 生徒の減少や地元の進学志向の強まり。地方の総合学科ではそんな悩みに直面している。 (名倉透浩、写真も)

 メモ 学級数は平均14.8学級 国立教育政策研究所が2007年9月に実施した調査によると、総合学科高校の学級数は「13~18学級」(38.3%)が最多で、次いで「7~12学級」(34.5%)、「19~24学級」(20%)となった。平均は14.8学級で、1学年5学級程度となる。1学年2学級以下にあたる「6学級以下」は5.5%とわずかだった。
(2009年11月18日 読売新聞)
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