中国新聞から
医学生が島の実情学ぶ 訪問診療など同行 '10/8/20
▽広島県と広島大がセミナー
広島県と広島大は19日、県内の地域医療を将来担う同大「ふるさと枠」などの医学生36人を対象に、恒例の地域医療セミナーを始めた。導入2年目のふるさと枠が20人を超え、初めて大学が企画段階から参画。中山間地域で開いていた現地研修を島しょ部に移し、呉市、尾道市瀬戸田町、大崎上島町の計9カ所に分かれて学んだ。
ふるさと枠は、県内の医師不足地域で一定期間働けば奨学金返還が免除される制度。ほかに自治医科大の県出身者10人なども参加。訪問診療に同行したり患者の声を聞き取ったりして、島が抱える医療の実情を体感した。
3市町のうち大崎上島町は近隣市町と橋で結ばれておらず、救急艇での患者搬送が年間約200件ある。同町明石の田村医院では学生4人が田村淳副院長(42)の診療を見学。消化器科が専門の副院長が最新型内視鏡で、輸血を伴わない範囲の治療をする様子に見入った。
人口約8700人の同町は高齢化率が40%を超え、6医院の医師11人がカバー。ふるさと枠の1年高橋江奈さん(19)=呉市=は「お年寄りたち患者は、地域医療への満足度が高い」と驚いていた。
現地研修を踏まえ20日、島のよりよい医療についてグループ討議をする。引率した広島大医学部地域医療システム学講座の竹内啓祐教授(57)は「早期の実地体験が大事。学生も地域医療のイメージをつかめたようだ」と手応えを話した。(白石誠)
【写真説明】最新型の内視鏡で診察する田村副院長から説明を聞く医学部の学生=右の2人(広島県大崎上島町の田村医院)
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