日本経済新聞から
広島県が策定作業を進める瀬戸内海の観光振興策「瀬戸内・海の道構想」の素案がまとまった。2020年までに広島県内の観光関連消費額を6000億円に増大し、経済波及効果1兆円をめざす内容。構想を具体化するための官民共同の推進機関を11年10月に設立する。構想の実現に向けては近隣他県との連携が不可欠になる。
「手ごろな値段で地元のカキを味わえる。休日の新たな楽しみができた」。カキをお客が自ら焼いて食べる簡易施設「カキ小屋」。
カキ1キロを1000円で提供する。広島県呉市の海岸沿いに開業したカキ小屋には各地から夫婦連れなどが訪れ、満足そうに焼きガキをほうばる光景が見られた。
カキ小屋の展開は瀬戸内・海の道構想の実証事業の1つで、県内各地に8~10カ所程度を開設する計画。冬季の新たな観光名所に育てる狙いだ。広島産のカキは全国的な知名度を誇るが、気軽に味わえる場面は限られていた。「
既に有名な観光資源も磨きあげることで新たな魅力を発信できる」と湯崎英彦知事は語る。
海の道構想ではカキ小屋を整備する「ひろしまオイスターロード」のほか、本州四国連絡橋・尾道―今治ルート(瀬戸内しまなみ海道)を活用した「瀬戸内サイクリングロード」、瀬戸内海地域で芸術活動を展開する個人や団体をネットワーク化する「瀬戸内アート回廊」といった実証事業を展開する。
島や町並みの景観、文化・芸術・産業、食材や農産物といった分野で点在する観光資源をつないで広域で集客することをめざす内容だ。「机上で構想を策定するだけにとどまらず、できる分野から具体化していく」(海の道プロジェクトチーム・後藤昇課長)方針だ。
海の道構想の策定や実証事業の展開には「瀬戸内しまなみ海道の自転車道をはじめ、国内だけでなく海外にも育つ資源は数多い。積極的にPRしてほしい」(尾道観光協会)と観光関係者からの期待は大きい。
10年夏~秋に香川・高松港や瀬戸内海の7つの島を会場に開催した「瀬戸内国際芸術祭」が当初見込みを大幅に上回る観光客を集めたことも、海の道構想の推進を後押ししている。
ただ、構想実現に向けては県境を越えた連携が課題になる。湯崎知事は「中国5県知事会や岡山県知事との会談などで海の道構想を説明し、賛同を得ている」と話す。とは言え、具体的な連携に向けた動きはまだ乏しい。
「観光客誘致は各自治体がしのぎを削っている。協力してもらうためには各県がどんなメリットを受けられるか示す必要がある」(観光関係者)との指摘もある。
広島県の観光客数は06年の5799万人をピークに減少傾向が続く。
09年の観光消費額は2880億円で、目標に到達するまでは3000億円の増加が必要。ハードルは高い。11年秋に発足する企画や広報、資金調達の推進機関で、どこまで他県の関与を得られるかがカギを握りそうだ。(広島支局 菊地毅)
瀬戸内・海の道構想の具体的内容は、まだ発表されていない。
瀬戸内サイクリングロードも既存のルートを利用するような印象だ。
岡山県と香川県の動きも、交通基本法を先じての政治的発言であり、広島県の対応がどうなるのか今後の動向が注目だ。
広島県は中国地方では、中核の都市を抱えているが、もう覇者としての威光は薄らいでいる。できれば瀬戸内海に面した中国地方、四国を含んだ広域でリーダーとしてチャレンジして欲しいものだ。
交通弱者である地域としては、国勢の動きは注視しておかなければいけないのだが、新聞記事は事後記事ばかりで経過を把握するのは難しい。
ここを中心に過程をチェックすると便利だと思う。
いずれにしても船舶の交通費は高速道路とくらべ割高であり、値段が下がることのメリットは、少子高齢化の大崎上島にとっては、最大のメリットとなると思う。
カテゴリーに「海の道」を追加したので、過去の記事が参照できます。
絶景の瀬戸内しまなみ海道の旅 | 街ログ×瀬戸内 海の道構想http://twitter.com/yuzakihide